ブルーエコノミーとは【後編】

海洋経済、ブルーエコノミー市場規模と日本の政策動向

海洋保全と経済成長を両立させる「ブルーエコノミー」は、世界中で注目を集める巨大な市場可能性を秘めた概念です。前編では概念の定義や主要セクターを解説しましたが、後編では具体的な市場の成長予測や日本の政策動向に迫ります。世界の「ブルーエコノミー市場規模」の試算をはじめ、日本の「第4期海洋基本計画」、省庁の施策、ブルーファイナンスの動きまで幅広く網羅します。当社では海洋サステナビリティの最新情報を発信しており、本記事が事業戦略の一助となれば幸いです。

 

「ブルーエコノミーとは」後編

ブルーエコノミーとは|世界の市場規模と成長予測

ブルーエコノミーがもたらす経済的インパクトは非常に大きく、今後の世界経済を牽引する主要分野として期待されています。

 

OECD(経済協力開発機構)による試算レポート(「The Ocean Economy in 2030」)によると、世界の海洋経済の付加価値額は2010年時点で約1.5兆ドル(世界GDPの約2.5%)と評価されていました。さらに同レポートでは、2030年までに3兆ドル規模へ倍増すると予測されています。

特に、洋上風力発電や水産養殖などの新興セクターは高い成長率を示すと見込まれています。持続可能な投資を誘発することで、環境保全と経済的リターンの両立が実現可能になると期待されています。

ブルーエコノミーとは|世界の市場規模と成長予測

日本における政策動向

四方を海に囲まれた日本においても、「ブルーエコノミー」の確立に向けた政策整備が着々と進められています。

海洋基本計画

日本の海洋政策の基礎となるのが、内閣府が主導する「海洋基本計画」です。海洋基本計画は海洋基本法に基づき5年ごとに改定されており、直近では2023年4月に「第4期海洋基本計画」が閣議決定されました。

第4期計画では、「海洋立国の推進」とともに「総合的な海洋安全保障」や「持続可能な海洋の利用」が柱に掲げられています。海洋再生可能エネルギーの導入促進や海洋環境の保全が明確に位置づけられています。

対象となる産業セクター一覧

ブルーエコノミーがカバーする産業範囲は多岐にわたります。伝統的な海洋産業から先進技術を活用した新興セクターまで分類してご紹介します。

関連省庁(経産省・国交省・水産庁)の動き

日本の関係省庁でも、ブルーエコノミーを推進する施策が具体化しています。

 

・経済産業省:洋上風力発電の導入拡大に向け、「再エネ海域利用法」に基づく事業者選定や、海洋エネルギー技術の開発支援を進めています。

 

・国土交通省:港湾の脱炭素化を目指す「CNP(カーボンニュートラルポート)」の形成や、国際海運におけるゼロエミッション化を推進しています。

 

・水産庁:TAC(漁獲可能量)管理の拡大による適切な水産資源管理や、ICTを活用したスマート水産業の推進、藻場保全によるブルーカーボン創出を後押ししています。

関連省庁(経産省・国交省・水産庁)の動き

ブルーエコノミーを支えるファイナンス

持続可能な海洋経済への移行には膨大な資金が必要です。これを支える金融枠組みとして「ブルーファイナンス」が注目されています。

ブルーファイナンスとは、海洋保全や持続可能な海洋資源の利用を目的としたプロジェクトに資金を供給する投資・融資手法です。その代表格として、海洋保全事業に用途を限定して発行される資金調達用債券「ブルーボンド」があげられます。

 

UNEP FI(国連環境計画・金融イニシアチブ)の「持続可能なブルーエコノミー金融原則」などを参考に、民間金融機関や多国間開発銀行による資金供給が加速しています。グリーンウォッシングならぬ「ブルーウォッシング(見せかけの環境配慮)」を回避し、透明性の高い評価基準の下で運用することが求められています。

 

Three professionals review a holographic 'BLUE BOND' display about issuance for sustainable ocean projects, with charts and icons on screen.

関連する国際イニシアチブ(UN Ocean Decade等)

ブルーエコノミーの推進には、国境を越えた国際連携と最新の科学的知見が欠かせません。

代表的な国際的取り組みとして、国連が主導する「UN Ocean Decade(持続可能な開発のための国連海洋科学の10年:2021~2030年)」があげられます。これは海洋科学を駆使して海洋保全とSDGs(持続可能な開発目標)の達成を目指す世界的フレームワークです。

研究機関、行政、企業の連携を強化し、海洋の観測・予測データの共有や持続可能な産業技術開発をグローバルに後押ししています。このような国際的イニシアチブとの調和が、企業のブルーエコノミー参入において重要になります。

ブルーエコノミー推進を支える要素構造

【まとめ】

ブルーエコノミーとは何かと今後の展望

・ブルーエコノミーとは、2030年に向けて3兆ドル規模へ拡大すると予測される高成長分野です。

・日本では「第4期海洋基本計画」に基づき、経産省・国交省・水産庁が連携した取り組みが加速しています。

・資金供給を支える「ブルーファイナンス」や「ブルーボンド」の活用が世界的に普及しています。

・「UN Ocean Decade」などの国際フレームワークを活用した科学的アプローチが不可欠とされています。

企業が持続可能な海洋事業へ参入することは、社会的責任を果たすだけでなく新たな事業機会の獲得につながると期待されます。

~SeaChallengeの役割と願い~

ブルーエコノミーの推進には、企業や自治体が科学的知見に基づき、環境保全と価値創出を両立させることが不可欠です。当社SeaChallengeは、海洋環境DNA調査やブルーカーボン活用支援をはじめとする専門的なデータとノウハウを提供し、皆様のサステナビリティ経営を力強くバックアップしてまいります。健全で豊かな海を未来へつなぎながら、持続可能な経済の発展を共に築いていくこと――それが私たちの願いです。海洋分野での新たな挑戦や事業参入の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

【参考文献】

・内閣府「海洋基本計画」 https://www8.cao.go.jp/ocean/policies/plan/plan.html

・UN Decade of Ocean Science for Sustainable Development https://oceandecade.org/

・OECD「The Ocean Economy in 2030」

・World Bank「What is the Blue Economy?」

・ICMA「Bonds to Finance the Sustainable Blue Economy」

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依田和明
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