第4回:水中ドローン×3Dモデル化 点検結果の“見える化”とBIM/CIM活用

映像だけで終わらない。点検は“活用する”時代へ

水中ドローンで取得したデータは、ただの記録ではありません。
次に活かす「資産」として扱うことで、インフラ点検の質が大きく変わってきます。
特に近年は、点検データを3Dモデル化
し、BIM/CIMと連携して可視化・共有・分析する動きが本格化しています。

今回は、水中ドローンによる調査データをどのように“活用”できるのか、
3D化・CIM対応・DX推進の観点から具体的に紹介します。

水中ドローンで取得できる「使えるデータ」

水中ドローンで収集されるのは単なる映像だけではありません。
以下のような定量的な点検データが得られます。

  • 高解像度映像・静止画

  • 撮影地点ごとの深度・姿勢・角度情報

  • レーザーやスケーラーによる寸法データ

  • GPS(地上との連携)または相対位置情報

  • 録画と同時に取得される時系列ログ

これらのデータは、「記録」としてだけでなく、加工して“モデル化”していくことで価値を発揮します。

3Dモデル化で“点検の見える化”が一気に進む

例えば、岸壁や護岸の水中部分を撮影した映像から、
点群データ化 → モデリング → 構造物の3D表示を行うことで、

  • 劣化範囲や形状の把握

  • 被害箇所の位置関係の把握

  • 改修設計との連携

といった“可視化”が可能になります。

さらに、点群データやスケーラー測定値を組み合わせることで、
従来の2D平面図では見えなかった歪みや変形、洗掘の深さまで立体的に把握できるようになります。

BIM/CIMとの連携で維持管理が効率化

国土交通省が推進するBIM/CIM(Building/Construction Information Modeling)では、
インフラ構造物を3Dモデルで一元管理し、設計・施工・維持管理を効率化する取り組みが進んでいます。

水中ドローンのデータも、このBIM/CIMと連携することで:

  • 点検記録を設計データ上に反映

  • 維持管理台帳とモデルを紐づけ

  • 劣化部位の再点検や修繕計画に活用

  • 成果の電子納品にも対応可能

といったメリットが生まれます。

特に、公共事業におけるCIM対応の原則適用(2023年〜)が進む中で、
水中点検の成果もCIM対応にしておくこと」が求められる場面が増えています。

点検+データ化が“次の一手”につながる

これまでの点検は、「見て終わり」「紙にまとめて終わり」というケースが多くありました。
しかし、今後はそれだけでは不十分です。

水中ドローンの力は、“水の下”の現実を、チームで共有できる情報に変えること

それによって、点検が次の行動(設計・修繕・予算化)につながり、
「安全を守る点検」から「未来につなぐ点検」へと進化していくのです。

まとめ:データは使ってこそ意味がある

水中ドローンがもたらす最大の価値は、
「誰も見たことのない場所を、誰でも見られる情報に変える」こと。

3Dモデル化やBIM/CIM対応によって、
点検の質と説得力は大きく向上し、点検報告が“判断材料”として活きるようになります。

次回の最終回では、水中ドローン導入によるコスト面・安全性・業務効率の具体的な効果を詳しく解説します。

お見積り、資料請求など、お気軽にご相談ください

ROV/UAV、BIM/CIM等​

045-294-4255

潜水、維持管理業務等

045-744-9481

上部へスクロール