海の下の点検員。水中ドローンが支える港の安全管理By SeaChallenge / 2025年5月19日 港の岸壁は、船の往来と物流を支える“縁の下の力持ち”です。しかしその多くは、目には見えない“水中部分”に重大なリスクを抱えています。洗掘、腐食、ひび割れ、沈下…。それらはある日突然、事故として現れます。港の安全管理において、水中の点検は欠かせない「見えない仕事」なのです。 潜らずに見る。水中ドローンという新しい選択肢 従来、港の水中点検といえば、潜水士による調査が一般的でした。しかし、潮流・視界不良・水温・深度など、作業環境の厳しさは大きなリスク要因でもあります。そこで今、活用が進んでいるのが水中ドローン(ROV)です。高性能カメラと照明を備えた小型機体が、ケーブルでつながれながら岸壁沿いを進み、ひび割れ・鉄筋露出・洗掘・構造のずれなどを高精度で撮影します。潜水士が必要だった調査を、地上から安全に、しかも短時間で実施できるのが大きな特長です。 定点観測で“劣化の進行”を見える化 水中ドローンの真価は、繰り返し同じ場所を観察できる点にあります。例えば年に1回、同じ岸壁の継ぎ目や基礎周りを定点で記録すれば、劣化の進行度や変化が視覚的に比較可能になります。撮影データは静止画・動画だけでなく、距離・深度・角度情報も記録され、点検報告書や維持管理計画の裏付けとしても説得力を持ちます。 災害・トラブル時にも即応可能 地震、台風、船舶接触事故など、港湾部の水中構造物は突発的なリスクにさらされます。水中ドローンは、こうした緊急対応にも即時出動可能です。人が潜れない状況でも、安全を確認しながら被害状況を記録。迅速な判断材料を提供し、復旧計画にも貢献します。 港の未来は「水の下の安心」から始まる 港湾インフラの老朽化は、全国的な課題となっています。見えない部分の変化にいち早く気づき、必要な補修・更新を先手で打つためには、“潜らずに見守る技術”がますます重要になるでしょう。水中ドローンは、単なるカメラ付き機材ではありません。「水の下の点検員」として、これからの港の安全と、未来の安心を支える存在です。 お見積り、資料請求など、お気軽にご相談ください お問い合わせフォームへ ROV/UAV、BIM/CIM等 045-294-4255 潜水、維持管理業務等 045-744-9481