なぜ今、藻場調査が重要なのか?
近年、藻場(もば)の減少が深刻な問題となっています。藻場は「海の森」とも呼ばれ、魚介類の生育環境を支える重要な役割を果たすだけでなく、二酸化炭素(CO2)の吸収や海洋環境のバランス維持にも貢献しています。
しかし、海水温の上昇や沿岸開発、栄養塩の不足などにより、日本各地で藻場の衰退が進んでいます。これに伴い、水産資源の減少や沿岸環境の悪化といった問題が浮き彫りになり、藻場の保全・再生に向けた調査の重要性が高まっています。
本記事では、藻場の役割と現状、そして最新の水中調査技術について解説し、貴社の水中調査技術がどのように藻場調査に活かせるかを紹介します。
藻場とは?その役割と生態系への影響

藻場とは、海藻や海草が密生する海域のことで、特に以下のような役割を担っています。
① 水産資源のゆりかご
アワビ、ウニ、魚類の産卵・生育の場となる。
② 二酸化炭素の吸収(ブルーカーボン)
海藻がCO2を吸収し、地球温暖化の抑制に貢献。
③ 沿岸の浸食防止
波の力を緩和し、砂浜や護岸の浸食を防ぐ。
しかし、近年「磯焼け」と呼ばれる現象により、多くの藻場が消失しています。このため、藻場の現状を把握し、適切な保全対策を行うために、正確な水中調査が不可欠になっています。
最新の藻場調査技術:ROV・潜水士による詳細なモニタリング
藻場調査には、以下のような方法が用いられます。
① ROV(遠隔操作無人探査機)による高精度な映像調査
ROVを活用することで、広範囲の藻場を効率的に調査できます。
- 水深の深いエリアでも安全に調査可能
- 高解像度カメラで海藻の種類や成長状況を確認
- GPS連携により位置情報を正確に記録
ROVなら、長時間の調査や危険な海域でのデータ取得が可能となり、藻場の変化を定量的に把握できます。
② 潜水士による詳細な現場確認とサンプリング
ROVで広範囲をスクリーニングした後、細かい調査が必要な箇所は潜水士が直接確認します。
- 海藻の健康状態(色や食害の有無)をチェック
- 海藻の種類ごとの密度を測定
- 海底の堆積物や水質の採取
ROVと潜水士を組み合わせることで、効率的かつ精密な調査が可能となります。
3Dモデリングによる藻場のデジタル化
私たちSeaChallengeでは、ROVや潜水士が取得したデータを3Dモデリング化し、
- 藻場の広がりや密度を可視化
- 長期的な変化を追跡
- 再生計画の基礎データとして活用
といった活用が可能です。従来の目視調査に比べ、定量的なデータを蓄積できるため、より精度の高い藻場管理が実現します。
藻場保全に向けた今後の取り組み
現在、多くの自治体や研究機関が藻場の保全・再生プロジェクトを進めています。例えば、人工藻場の造成や藻場回復のための環境改善などが行われていますが、その前提として、正確な現状把握が不可欠です。
私たちSeaChallengeは、これまで港湾調査の分野で培った技術を活かし、ROV・潜水士・3Dモデリングを組み合わせた藻場調査を提供することで、環境保全に貢献できると考えています。