第4回:水中ドローン×3Dモデル化 点検結果の“見える化”とBIM/CIM活用By SeaChallenge / 2025年6月23日 映像だけで終わらない。点検は“活用する”時代へ 水中ドローンで取得したデータは、ただの記録ではありません。次に活かす「資産」として扱うことで、インフラ点検の質が大きく変わってきます。特に近年は、点検データを3Dモデル化し、BIM/CIMと連携して可視化・共有・分析する動きが本格化しています。今回は、水中ドローンによる調査データをどのように“活用”できるのか、3D化・CIM対応・DX推進の観点から具体的に紹介します。 水中ドローンで取得できる「使えるデータ」 水中ドローンで収集されるのは単なる映像だけではありません。以下のような定量的な点検データが得られます。高解像度映像・静止画撮影地点ごとの深度・姿勢・角度情報レーザーやスケーラーによる寸法データGPS(地上との連携)または相対位置情報録画と同時に取得される時系列ログこれらのデータは、「記録」としてだけでなく、加工して“モデル化”していくことで価値を発揮します。 3Dモデル化で“点検の見える化”が一気に進む 例えば、岸壁や護岸の水中部分を撮影した映像から、点群データ化 → モデリング → 構造物の3D表示を行うことで、劣化範囲や形状の把握被害箇所の位置関係の把握改修設計との連携といった“可視化”が可能になります。さらに、点群データやスケーラー測定値を組み合わせることで、従来の2D平面図では見えなかった歪みや変形、洗掘の深さまで立体的に把握できるようになります。 BIM/CIMとの連携で維持管理が効率化 国土交通省が推進するBIM/CIM(Building/Construction Information Modeling)では、インフラ構造物を3Dモデルで一元管理し、設計・施工・維持管理を効率化する取り組みが進んでいます。水中ドローンのデータも、このBIM/CIMと連携することで:点検記録を設計データ上に反映維持管理台帳とモデルを紐づけ劣化部位の再点検や修繕計画に活用成果の電子納品にも対応可能といったメリットが生まれます。特に、公共事業におけるCIM対応の原則適用(2023年〜)が進む中で、「水中点検の成果もCIM対応にしておくこと」が求められる場面が増えています。 点検+データ化が“次の一手”につながる これまでの点検は、「見て終わり」「紙にまとめて終わり」というケースが多くありました。しかし、今後はそれだけでは不十分です。水中ドローンの力は、“水の下”の現実を、チームで共有できる情報に変えること。それによって、点検が次の行動(設計・修繕・予算化)につながり、「安全を守る点検」から「未来につなぐ点検」へと進化していくのです。 まとめ:データは使ってこそ意味がある 水中ドローンがもたらす最大の価値は、「誰も見たことのない場所を、誰でも見られる情報に変える」こと。3Dモデル化やBIM/CIM対応によって、点検の質と説得力は大きく向上し、点検報告が“判断材料”として活きるようになります。次回の最終回では、水中ドローン導入によるコスト面・安全性・業務効率の具体的な効果を詳しく解説します。 お見積り、資料請求など、お気軽にご相談ください お問い合わせフォームへ ROV/UAV、BIM/CIM等 045-294-4255 潜水、維持管理業務等 045-744-9481