水中ドローンの時代に、なぜ潜水士は必要なのか―「人が潜る意味」が失われない理由―

水中ドローンが変えた港湾調査の現場

水中ドローンの普及によって、港湾調査や海中点検のあり方は大きく変わりつつある。
人が潜らなくても広範囲を調査でき、安全性や効率性の面で大きなメリットがあることは間違いない。では、水中ドローンがこれほど進化した今、潜水士は本当に不要になったのだろうか。

答えは、はっきりと「否」である。

複雑な海中構造物がもたらすリスク

水中ドローンは非常に優れた調査ツールだが、海中という環境は決して単純ではない。
港湾構造物や岩礁域、消波ブロック周辺など、実際の現場には突起物や空隙、複雑な形状が無数に存在している。そうした場所では、ドローンのケーブルが構造物に引っかかるリスクが常につきまとう。

もし水中ドローンが回収できなくなった場合、単に機材を失うだけでは済まない。
高額な機材損失によって調査全体が赤字になる可能性があるだけでなく、海中に機材を放置することは、環境面でも大きな問題となる。意図せず廃棄物を残すことは、調査や環境保全を目的とする立場として、決して許容できるものではない。

「最後に頼れる存在」としての潜水士

こうした想定外の事態が起きたとき、最後に頼れるのが潜水士である。
人の目で状況を確認し、手で触れ、判断しながら対応できる存在は、現時点では人間以外にない。ケーブルの絡まりを解き、機材を安全に回収する作業は、潜水士の経験と技術があってこそ成立する。

調査の内容によっては、細かな作業が求められる場面も多い。
ひび割れの状態を指で確認する、付着物を軽く除去する、狭い隙間の奥を直接確かめるといった作業は、いまだに潜水士の方が確実で柔軟だ。水中ドローンは「見る」ことに長けているが、「判断しながら作業する」点では、人の手に軍配が上がる。

水中ドローンと潜水士は「対立」ではない

重要なのは、水中ドローンと潜水士を対立する存在として捉えないことだ。
水中ドローンは調査の主役になりつつある一方で、潜水士は「最後の安全装置」であり、「現場対応の切り札」として不可欠な存在である。ドローンが効率よく調査を進め、潜水士が人にしかできない判断と作業を担う。この役割分担があってこそ、調査は安全かつ持続可能なものになる。

水中ドローンの時代だからこそ、潜水士の価値はむしろ明確になってきている。
人が潜る意味は減ったのではなく、「必要な場面がはっきりした」と言えるのかもしれない。技術と人が補い合うこと。それが、これからの港湾調査に求められる現実的な姿である。

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