近年、インフラ点検や環境調査、災害対応などで活用が広がる「水中ドローン」。しかし、現場によって求められる性能は大きく異なり、すべてのケースで万能な機体というのは存在しません。
本記事では、「小型機」と「大型機」という2つのカテゴリに注目し、それぞれの特徴や適したシーン、選定ポイントについて詳しく解説します。導入や運用に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
水中ドローンの基礎知識──小型機と大型機の違いとは?
水中ドローンは、水中での作業を人に代わって行う無人の作業機器です。カメラやセンサーを搭載し、遠隔操作で映像やデータを収集できることから、港湾・ダム・橋梁など多くの公共施設の維持管理に活用されています。
そのなかでも、機体のサイズや機能に応じて「小型機」と「大型機」に大別され、それぞれに明確な使い分けがあります。
小型機の魅力──軽快な機動力と扱いやすさ
小型水中ドローンの最大の特徴は、その軽量さと可搬性です。1人で持ち運びができ、車から降ろしてすぐに水中調査を開始できる手軽さは大きな武器です。
たとえば、以下のようなケースに最適です:
港湾施設や漁港の定期的な簡易点検
船底の目視調査
災害現場でのスピード対応
準備や後片付けもスムーズなため、時間と人手の節約につながり、限られたリソースで効率よく現場を回りたい方には理想的な選択肢です。
大型機の強み──深度・潮流への高い対応力
一方、大型機は高出力のスラスターや先進的なナビゲーション機能(DVLなど)を搭載し、潮流の速い現場や深水域でも安定して動作します。
次のような現場に力を発揮します:
ダム底部や橋脚周辺の構造物点検
潮流の強い海域での精密調査
高精度3Dモデルの作成やAI解析向けデータ取得
また、大型機は拡張性が高く、マニピュレーターやマルチビームソナーなどのアタッチメントも搭載可能。現場に応じたカスタマイズも可能なため、より高度な業務に対応できます。
適材適所での選定が成功のカギ
小型機と大型機、どちらが優れているということではなく、「どの現場で、何を目的に使うか」で選ぶべき機体が変わります。
用途 | おすすめ機体 |
---|---|
簡易的な目視確認 | 小型機 |
潮流の強い場所での安定調査 | 大型機 |
深海や構造物の詳細調査 | 大型機 |
頻繁な移動・短時間調査 | 小型機 |
どちらも特性を理解して使い分けることで、業務の効率と安全性を高められます。
ハイブリッド運用という選択肢
最近では、小型機と大型機を併用する「ハイブリッド運用」も広がっています。
たとえば、まずは小型機で広域を予備調査し、問題が見つかった地点だけを大型機で詳細調査するといった運用が効果的です。このアプローチにより、コストを抑えつつ、必要な情報を確実に収集できます。
水中ドローンは、点検・調査の現場において大きな可能性を秘めたツールです。しかし、最大限の効果を発揮させるには、現場や目的に応じた適切な機体の選定が不可欠です。
小型機の「手軽さ」、大型機の「パワーと精度」、そして両者の「組み合わせ」。それぞれの特性を理解し、最適な運用方法を選ぶことで、調査の質もコストパフォーマンスも大きく向上するでしょう。
なお、弊社では水中ドローンの選定や導入に関するご相談も随時受け付けております。
現場の状況や目的に応じて、最適な機体や運用方法をご提案いたしますので、
「どの機体を選べばよいか迷っている」「導入前に詳しく話を聞きたい」といった方は、お気軽にお問い合わせください。